はじめに
B2B自動割引システムの土台は、すべてShopify管理画面の設定で作ります。プログラムを書く場面は1つもありません。管理画面を触れる人であれば、この記事の順番どおりに進めるだけで設定が完成するようにまとめました。
用意するのは次の4つです。
- 顧客タグ ── B2Bのユーザーを見分けるための目印
- 顧客セグメント ── タグを持つユーザーの自動グループ
- コレクション ── 割引対象の商品をまとめた棚
- クーポン(割引コード) ── 実際に割引を行う部品
この4つが「タグ → セグメント → クーポン」の順につながって、はじめて自動割引が動きます。1つずつ見ていきましょう。
ステップ1: 顧客にタグを付ける
タグは「カテゴリ名-割引率」の形式で
B2Bのユーザーには、「カテゴリコード-割引率」という決まった形式でタグを付けます。タグ名そのものに割引率を埋め込むのがポイントです。
こうしておくと、ウェブサイト側はタグを読み取るだけで「標準カテゴリを35%OFFにする相手だ」と判断できます。後で説明しますが、このタグ名はそのままクーポン名にもなるので、命名の一貫性がそのまま仕組みの信頼性につながります。
タグ名の末尾の数字が、そのまま割引率として使われる、という流れです。
1人に複数のタグを付けてもよい
複数カテゴリを扱う取引先には、タグを複数付けられます。たとえば standard-35 と premium-25 の両方を持つユーザーがカートに両カテゴリの商品を入れた場合、それぞれの商品に対応する割引が別々に適用されます。取引先ごとの契約条件の違いを、タグの組み合わせだけで表現できるわけです。
タグの付け方
管理画面の「顧客」から対象のユーザーを開き、タグ欄に上記のルールでタグを入力して保存するだけです。取引先が多い場合は、CSVの一括インポートや、Admin API(Shopifyの裏側を操作するための窓口)を使った自動化もできます。
ステップ2: 顧客セグメントを作成する
セグメントは「タグを条件にした自動グループ」
顧客セグメントは、条件を満たすユーザーが自動的に入るグループです。「顧客タグが standard-35 を含む」という条件でセグメントを作っておくと、タグを付けたユーザーが手作業なしでこのグループに加わります。名簿の管理は不要。タグを付けた瞬間にグループ分けが終わっている状態を作れます。
このセグメントを作っておく理由は1つで、後で作るクーポンの利用対象を「このグループ限定」に絞るためです。仮にクーポン名が外部に知られても、セグメントに入っていない一般ユーザーには一切効きません。
タグごとに1つずつ作る
管理画面の「顧客」→「セグメント」から、タグに対応するセグメントを1つずつ作成します。
タグの数だけセグメントがある、という1対1の対応にしておくと、後から見直すときに迷いません。
ステップ3: 対象商品のコレクションを作る
割引対象の商品を棚にまとめる
コレクションは、商品をまとめる「棚」のような機能です。B2B割引の対象にしたい商品を、カテゴリごとにコレクションへまとめます。管理画面の「商品管理」→「コレクション」から作成し、商品は手動で追加しても、条件による自動追加でもかまいません。
自動コレクションを使うと運用がラクになる
「商品タイプがStandardのものを自動追加」「特定ベンダー(ブランド)の商品を自動追加」のような条件を設定しておくと、新商品を登録するだけで自動的に割引対象へ入ります。商品が増えるたびに棚へ入れ直す手間がなくなるので、長く運用するなら自動コレクションがおすすめです。
ステップ4: クーポンをタグと同じ名前で作る
コード名はタグ名と完全一致させる
管理画面の「ディスカウント」から割引コードを作成します。このとき、コード名をタグ名と完全に同じにします。standard-35 というタグに対しては、クーポン名も standard-35。この名前の一致が、タグとクーポンを結びつける唯一の接点です。
設定内容は次のとおりです。
適用対象をステップ3のコレクションに、対象顧客をステップ2のセグメントに絞ることで、「この商品を、このグループの人にだけ、この割引率で」という制御が完成します。
残りのタグにも同じ要領で
他のタグについても、同じ対応関係でクーポンを作成します。
設定の確認とよくあるミス
確認チェックリスト
設定が終わったら、次の6点を確認します。
- 顧客にタグが正しく付いているか
- セグメントに該当ユーザーが含まれているか
- コレクションに対象商品が入っているか
- クーポン名がタグ名と完全に一致しているか
- クーポンの対象顧客がセグメントになっているか
- クーポンの適用対象がコレクションになっているか
つまずきやすいのは名前の不一致
いちばん多いミスは、タグ名とクーポン名の微妙な不一致です。standard-35 と Standard-35 は別物として扱われるので、大文字・小文字や余分なスペースに注意してください。ほかには、セグメントの条件を「含む」でなく「等しい」にしてしまうケース、クーポンのセグメント指定を忘れて誰でも使える状態にしてしまうケースがあります。最後のケースは割引が全ユーザーに開放されてしまうので、公開前に必ず確認したいところです。
新しい取引先の追加はタグ1つ
ここまでの設定が済んでいれば、新しいB2Bアカウントの追加は「ユーザーにタグを付ける」だけで完了します。タグを付けた瞬間にセグメントへ自動で入り、対応するクーポンが使える状態になり、ウェブサイト側では会員価格が表示されます。日々の運用で触るのはタグだけ、という状態になるわけです。
Shopify側の設定はこれで完成。次の記事では、このタグを読み取って価格を計算し、クーポンを自動適用するウェブサイト(ヘッドレス)側の仕組みを解説します。