毎朝自動で動くAI調査エージェント — 提案と承認のワークフロー

AIエージェントが毎朝データを横断調査し、改善提案を登録。人が承認してから実行する運用の全体像

AIエージェントClaude Code自動調査承認フロー業務改善
読了時間: 11分

はじめに

「アクセス解析、ちゃんと見なきゃ」と思いながら、気づけば1週間開いていない——そんな経験はないでしょうか。ECや店舗を運営していると、見るべきデータはどんどん増えるのに、見る時間は増えません。

そこで私は、毎朝定時に自動で起動するAI調査エージェントを作りました。エージェントがアクセス解析・検索データ・店舗売上・EC・CRMを横断的に調査し、改善提案を登録してくれる。人間は朝、提案を眺めて承認か却下を判断するだけ。この記事では、その全体像を解説します。

毎朝の「データ確認」をAIに任せる

人手による定点観測の限界

データの定点観測は「重要だけど緊急ではない」仕事の典型です。GA4を開き、Search Consoleを見て、店舗売上のCSVを開き、ECの受注とCRMの商談を確認する——真面目にやると毎朝1時間近くかかります。

しかも大変なのは「見る」ことより「気づく」ことなんです。数字を眺めるだけでは意味がなく、「先週から特定カテゴリの流入が落ちている」といった変化を捉えて、初めて価値が生まれます。この「毎日同じ観点で見比べて、変化に気づく」仕事は、実はAIエージェントがかなり得意な領域です。

エージェントに任せる仕事の範囲

任せるのは調査と提案まで。実行は任せません。

エージェントは毎朝、各データソースを調査し、「この商品ページの検索順位が落ちているので、タイトルの見直しを提案します」といった改善提案を作成して、社内の業務ハブに登録します。ただし、サイトや設定を勝手に変更することは一切ありません。提案が実行されるのは、管理者が管理画面で承認してからです。

AIの調査力・分析力は借りつつ、判断と責任は人間が持つ。この線引きが、業務でエージェントを安心して使うための土台になっています。

全体アーキテクチャ

システム全体は「ローカルPCで動くエージェント」と「クラウド上の業務ハブ」の2つに分かれています。

AI調査エージェントの全体構成
ローカルPC

タスクスケジューラが毎朝、Claude Codeをヘッドレスモードで起動

データソース

GA4 / Search Console / 店舗売上CSV / Shopify / HubSpot

調査結果を構造化してAPI登録
業務ハブ(Next.js)

提案の一覧・詳細・承認/却下の管理画面

通知
Slack

新着提案の通知と、エージェントへの質問応答

エージェント本体をローカルPCで動かしているのがポイントで、コスト・認証・手元データへのアクセスの面で理にかなった選択でした。詳しくはサブ記事で解説します。

1日の流れ — 起動から提案登録まで

定時起動とヘッドレス実行

毎朝、ローカルPCのタスクスケジューラがClaude Codeをヘッドレスモード(人が対話しない自動実行モード)で起動します。起動時に渡すプロンプトには、調査すべきデータソース、見るべき観点、提案の出力形式があらかじめ定義されています。

人間がPCの前にいなくても、エージェントは自律的にデータを取得し、分析し、結果を登録して終了します。出社した頃には、その日の調査結果が業務ハブに並んでいる、というわけです。

毎朝の実行フロー
定時起動

タスクスケジューラがClaude Codeをヘッドレスモードで起動

データ横断調査

GA4・Search Console・店舗売上CSV・Shopify・HubSpotを順に調査

改善提案の生成

変化点と根拠データをもとに、構造化された提案を作成

業務ハブへ登録

APIで提案を登録し、Slackに通知

人が承認/却下

管理者が管理画面で判断。承認されたものだけ実行へ

複数データソースの横断調査

このエージェントの価値は、複数のデータを突き合わせられることにあります。

たとえば「検索流入は減っていないのに売上が落ちている」なら原因はサイト内にあるはず、といった推論は、単一ツールのレポートだけでは出てきません。横断して初めて見える示唆があるんです。

提案の構造化と登録

エージェントの出力は自由文ではなく、スキーマを決めた構造化データにしています。タイトル・カテゴリ・提案内容・根拠データ・期待効果・優先度といった項目をJSONで出力させ、業務ハブのAPIに登録します。

形式を固定することで、管理画面での一覧表示や絞り込みができ、「提案の質が日によってバラバラ」という問題も抑えられます。プロンプトと出力スキーマの設計は、このシステムの品質を決める心臓部と言っていいと思います。

人が判断するための仕組み

承認・却下できる管理画面

登録された提案は、Next.js製の業務ハブの管理画面に一覧表示されます。管理者は各提案の内容と根拠データを確認し、承認または却下を選びます。承認された提案だけが実行フェーズに進み、却下された提案は理由とともに記録されます。

この「人のレビューを必ず通す」設計はヒューマンインザループと呼ばれます。AIの提案には的外れなものも混ざるので、最後の判断を人が握ることが、安心して運用を続けられる条件になっています。

Slack通知と質問応答

提案は業務ハブへの登録と同時にSlackにも通知されます。わざわざ管理画面を開かなくても、朝のSlackチェックのついでに新着提案に気づける動線です。

さらに面白いのが質問応答フローです。エージェントが調査中に「この売上の落ち込みはセール終了の影響でしょうか?それとも別の要因がありますか?」のように、人間にしかわからないことをSlackで質問できます。人間は手が空いたときに非同期で回答すればよく、その回答は次回以降の調査に反映されます。

狼少年にならない通知設計

自動通知で一番怖いのは、通知が多すぎて誰も見なくなる「狼少年化」です。

エージェントには「確信度の高いものだけを提案にする」「同じ指摘を繰り返さない」という制約をプロンプトで課しています。通知の信頼性は、システムの技術品質と同じくらい大切な設計対象です。

まとめ

毎朝自動で動くAI調査エージェントの全体像を紹介しました。ポイントは3つです。

  1. 調査と提案はAI、判断は人間:ヒューマンインザループで安全に運用する
  2. 複数データソースの横断:単一ツールでは見えない変化に気づける
  3. 構造化とレビュー動線:提案をスキーマ化し、管理画面とSlackで無理なく回す

各要素の詳細は、以下のサブ記事で掘り下げています。