はじめに
本店とアウトレット、2つのECサイトを運営したいとき、悩ましいのが「商品データをどう分けるか」です。サイトごとに商品を登録し直すと作業が2倍になり、片方だけ価格を直し忘れるといったミスも起きやすくなります。かといって、全サイトに同じ商品を並べるのでは、サイトを分けた意味がありません。
この記事では、その問題を解決するShopifyの「販売チャネル」機能を解説します。商品の登録先は1つの管理画面のまま、サイトごとに並べる商品を変える仕組みが分かるはずです。
販売チャネルとは
商品を売る「窓口」を複数持てる機能
Shopifyの販売チャネルは、商品を販売する「窓口」のようなものです。1つのShopifyアカウント内に窓口を複数作っておき、商品ごとに「どの窓口に並べるか」を選べます。もともとはSNS販売や実店舗のレジ(POS)との連携のために用意された機能ですが、ヘッドレス構成(表側の画面を自分で作る方式)では、これが「サイトの振り分け口」として使えます。
公開する・しないはチェックボックスで選ぶだけ
商品の編集画面には、チャネルごとの公開設定が並んでいます。新商品を全サイトに並べるのも、売り切りたい商品をアウトレットだけに移すのも、チェックの付け外しで完結。コードの変更や専門知識は必要ないので、日々の品揃えの調整はお店の担当者だけで進められます。エンジニアの作業待ちが発生しないことは、運用面でかなり効いてきます。
チャネルの活用例
表を一言でまとめると、「誰に・何を見せるサイトか」に合わせてチャネルを分けるのが基本形です。
季節やキャンペーンに応じて公開設定を変えることもできるため、「新商品を本店だけで先行販売し、時期が来たら他のサイトにも公開する」といった段階的な展開も、管理画面の操作だけで実現できます。
サイトごとに商品が出し分けられる仕組み
APIトークンとチャネルが1対1で結びつく
各サイトは、Storefront API(表側の画面から商品情報を読み取るための窓口)を通じてShopifyに商品を問い合わせます。このとき使うAPIトークン(接続用の鍵)が、特定のチャネルに紐づいています。本店サイトには本店チャネルの鍵を、アウトレットサイトにはアウトレットチャネルの鍵を持たせる、という構成です。
非公開の商品は「存在しない」扱いになる
その鍵で問い合わせると、返ってくるのはそのチャネルで公開されている商品だけです。公開していない商品は、APIの応答にそもそも含まれません。サイト側に「この商品は表示しない」という除外の処理を作り込まなくても、チャネル設定どおりの品揃えが自動的にできあがります。仕組みとしては、これだけなんですよね。
URLを直接開かれた場合の対応
本店で見た商品のURLを、アウトレットサイトのドメインに置き換えて開かれるケースもあります。その商品がアウトレットで公開されていなければ商品データを取得できないため、「商品が見つかりません」というページ(404)を表示します。リンクの共有やブックマーク経由のアクセスでも、サイトごとの品揃えのルールが崩れないようにするための対応です。
図を一言でまとめると、「サイトが自分の鍵で問い合わせ、公開されていれば表示、されていなければ404」という流れです。
導入するときに注意したい点
新商品の公開設定を忘れない
チャネルの仕組みで唯一起こりがちなのが、新商品を登録したときに公開先のチェックを入れ忘れることです。チェックが入っていない商品は、サイト上では「存在しない」扱いになるため、登録したはずの商品が表示されないという問い合わせにつながります。対策はシンプルで、商品登録の作業手順に「公開先チャネルの確認」を1項目入れておくこと。仕組みではなく運用ルールで防ぐ部分です。
チャネル別の鍵の管理
サイトごとに違うAPIトークンを使うため、どのサイトにどの鍵を渡しているかは一覧にして管理しておきます。鍵を取り違えると、アウトレットサイトに本店の全商品が表示される、といった品揃えの混線がそのまま画面に出てしまいます。サイトを増やすときは「チャネルを作る→鍵を発行する→サイトに設定する」という順番をセットで扱うのが安全です。
運用して分かったメリット
商品管理が1か所で済む
商品データの登録・修正は1つの管理画面で完結し、「どのサイトで売るか」だけをチャネル設定で制御します。同じ商品を複数回登録する必要がないため、価格改定や商品説明の修正も1回の作業で全サイトに反映されます。データの食い違いが構造的に起きない、という安心感は大きいです。
サイトごとに独立したSEO
各サイトは独立したドメインとURL構造を持てるため、検索エンジンからも別々のサイトとして扱われます。チャネルで品揃えが分かれているぶん、同じ内容のページが複数サイトに並ぶ「重複コンテンツ」の問題も起きにくくなります。本店は本店、アウトレットはアウトレットとして、それぞれ検索結果に育てていけます。
まとめ
販売チャネルを活用すると、1つのShopifyで複数のサイトを運営しながら、サイトごとに表示する商品を制御できます。商品管理の手間は1サイト分のまま、品揃えの出し分けはチェックボックスの操作だけ。マルチサイト運営の土台として、まず押さえておきたい仕組みです。